自閉症児は多動の子が多く、片時も目が離せず困ることも多いですよね。特に、幼少期に多動がひどく、危険を伴うことも多いのでハラハラします。
無意味に走り回る息子の姿は、誰が見ても異常としか思えない光景。止めたくて捕まえて抱きしめると奇声をあげ暴れる姿に途方に暮れたこともあります。
なぜ多動になるのか、いつ頃落ち着くのか、経験を元に紹介します。
自閉症の多動に対応策はあるのか?
歩行がしっかりしてきて自由に移動できる年齢になると、多動が目に付くようになる自閉症児が多いです。
多動の程度は様々ですが、ちょっと目を離した隙にいなくなり、屋根の上など高所をプイプイと走っている場合もあったりします。
幼少期の多動は、言い聞かせても止まるものでもなく、身の危険がないように目を離さないようにしながら見守るしかない。そんな時期でした。
自閉症の多動は、小学4年生(10才くらい)で落ち着くと、療育センターで言われましたが、実際に息子が落ち着いたのはもう少し早かったです。
また、小学生~大人の知的障害者の某支援団体に所属していますが、半数が自閉症の障害を持っています。低学年から関わっている自閉症の子たちも、手をヒラヒラさせるなどは残っているものの、高学年になるとダイナミックな多動はなくなっていますね。
ある程度の年齢で落ち着くとは言え、何年もの間、多動に付き合うことになるので、親は疲れ果てることもあります。
そんな自閉症の多動行動の原因は、いったい何なのでしょう?息子の場合になりますが、参考になればと思い、実例やそこから見えた原因や対応策を紹介します。
自閉症の多動の原因から見た対応は?
自閉症でなくても、どうすれば良いか分らない、場所が分らず迷子になった、など、不安があるときってウロウロしていませんか?
その行動、傍目からみると多動行動に見えているかもしれません。そう考えると、自閉症の多動も理解できるところがあります。
脳に機能障害があるため、理解力が乏しく、不安が人一倍大きいから多動になる、と、考えれば共感できます。
「多動には原因がある」と共感することで対応策も見えてくると思います。
息子の多動の一例
息子の多動は挙げればきりがないほどありました。
- 首を左右に激しく振りながら走り回る
- 空中文字を書く
- 表情が百面相になる
首を左右に激しく振りながら走り回る
走れるようになった2才頃から、広い場所に行くと首を左右に激しく振りながら走り回るようになりました。
あんなに首を振ったら前方確認できないだろうし、いつ転んでもおかしくない状態なのに転びもせず動き回る異常な多動行為でした。
この時は、危険がないように見守るほかに為す術もありませんでした。
数年後に気付いたことですが、彼は音に敏感で耳塞ぎをしていたのですが、よく観察すると、耳に突っ込んだ指を小刻みに出し入れしていました。
そう、彼は音が苦手で耳塞ぎしているのではなく、音の響きを楽しんでいたようです。
このことから、2才頃の首を振りながら走る行為は、音の変化を楽しんでいたのではないかと想像できました。
確証はないですが、異常行動ではなく、彼が見つけた楽しみ方だったのではないかと。
空中文字を書く
5才頃だったと思います。手を空に向けて上げ、人差し指でクルクルと何かを書いているような動作を頻繁にするようになりました。
まるで、オーケストラの指揮者のような身振りでしたが、言葉にできないことを書いているような気がして、「空中文字」と呼んでいたんです。
あるとき、空中文字を書いている息子にペンを持たせたら、絵を描き始めたんです。それは、その数日前に姉に買い与えた防犯ベルの形に似ていました。
彼は、色んなことを注意深く見ていて、興味を示していることを知りました。「これは何ですか?教えてください。」と、言えないだけなんじゃないかと。
そして、その後、何年もかかって「分りません。教えてください。」と、尋ねることを教えました。
そのために、算数や国語を家庭学習で取り組み、分らないときに「教えてください。」のカードを使うことから始めたんです。
表情が百面相になる
小学校4年生のときのこと。教室でウロウロすることなく、座れるようになっていた頃のことです。
音楽発表会で舞台に立つ機会があったんです。その場に立つことはできるようになっていたものの、手や足をゴソゴソ動かす行為は残っていました。
手足を動かさずに立つ練習を何度もして、「手や足を動かさない。」と約束して迎えた音楽発表会。手や足をゴソゴソ動かすことなく、約束を守れました。
でも、顔が百面相のように動いていたんですよ。
なぜか・・・。
それは、手や足、立ち方は教わったけど、顔の動きまでは教わっていなかったから、初めての舞台で緊張した彼は、どうすれば良いのか分らなかったのでは、と思います。
多動行為には原因がある
息子の多動行為は、こんな感じで、ダイナミックなものから微細なものまでありました。
その原因を突き詰めてみると、どうすれば良いか分らない不安があったり、何もすることがないときに多動になっていたように思います。
多動を止めるのは、なかなか簡単にはいかないですが、身の危険がないように見守りながら、できることを増やしていくことと思います。
多動を止める薬はどうなの?
息子には使いませんでしたが、多動を止める薬もあるとのこと。
学校で多動がひどく、担任の手に負えないなどが理由で、学校にいる間だけでも落ち着かせるために使っていた知人もいました。
ただ、この薬を使うと、ボーッとしている状態になるとのことなので、どうしても必要に迫られたときだけにしている。あまり使いたくないと言っていました。
おとなしくなるのは、薬が効いている時間内だけ。対処的なもので多動を治すものではないようです。
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まとめ
自閉症の多動は、なかなか簡単に止めることはできないですが、殆どの場合、年齢とともに軽減してきます。
また、息子の多動行為の経験から、多動になるのは何か理由があると感じ、特別ではないと共感して観察してみることも必要と思います。
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